組織の中で自分のアイデンティティになるものは役割です。個々の役割と、組織の目標が上手
く合致していくことによって、組織は生産的に機能することができます。したがって個人が役割認識を持つことは非常に重要なことなのですが、仕事をすすめていく中で、業務がマンネリ化して役割を見失ったり、役割が複雑に絡み合って、周囲と上手くいかなくなるようなこともあるでしょう。
社会の中では、私たちは複数の役割を担っています。ある人は子供の学校ではPTAの役員を担い、家庭では父親で、会社では部長という役割を担っているでしょう。私たちは個々の役割をそれぞれの領域のニーズに応じて、上手く使い分けしています。役割はその時々、場面に応じて、流動的に変わっていくものなのです。
組織の中では役割に固着しすぎてしまうと対人関係に軋轢が生じたり、個々が刺激を受けながら伸びていくことができません。自分の役割を認識しながらも、枠を超えた領域にも柔軟に対応していける能力を保持することで、健全で機動的な組織を創造することが可能になります。
役割間の連携
野球をする時には、守備につくポジションでチームメンバーそれぞれが役割を担っています。個々がその守備範囲に入ってきたボールを捌かなくてはなりません。しかしながら、サードとショートの間にボールが落ちた場合はどうでしょう。お互いが見合っていては、自分のチームに不利な状況になってしまいます。このような場合は、互いに声を掛け合って、フォローし合うということが必要になるでしょう。役割間の連携プレーと言える行動です。
これと同じようなことが、組織の中でも起こってきます。役割の決まった個々の成員間で、それはあなたの役割だから勝手にやってくださいということでは、チームは常に負け続けることになるでしょう。相手を信頼しあって連携していくことが、強いチームを作っていく基礎になるのです。皆さんの職場では、役割間の連携が実践できているでしょうか。
役割に固執しない
男女の役割が柔軟な現代の社会では、環境に応じて役割が常に変化し続けています。役割意識に固執する傾向のある人は、社会の価値観や、規則というものにとらわれやすい傾向があると言えるでしょう。役割を超えて行動するためには、物事を多角的に捉える視点を持つことが大切です。また自身のもつ思い込みを捨て、柔軟に対処できる能力を養うことが必要です。
現在の職場で、皆さんが役割を超えて活躍できる領域がどんなことかを考えてみましょう。いつもは電話で顧客の対応をしているけれども、今日は営業マンが社内に不在で、彼の取引先のお客さんに必要な情報を伝えることができた、といったような些細なことで大丈夫です。自分の役割に必要以上に固執せず、いろいろな役割を縦横的に果たしていけるといいですね。
今回は、自分の役割に関する2つのポイントを紹介しました。ここまで呼んでくださった方々のお役に立てば幸いです。[:]