ウィンターブルーとは?

先日、某朝の情報番組で「ウィンターブルー」について紹介されていました。
この記事では、あらためてウィンターブルーについて解説していきたいと思います。

ウィンターブルーとは?

ウィンターブルーとは、医学的には「季節性感情障害(SAD)」と言います。これまでは一般的に「季節性うつ」「冬季うつ」などと呼ばれてきました。
①外的なストレス因がないにもかかわらず、②毎年秋~冬にかけて、気分が落ち込む(抑うつ症状がある)病気です。これは以前の記事で紹介した「冬は人肌恋しくなる」と言うのとも関係があります。
これを最近ではウィンターブルーと言ったりするそうです。かなり砕けた言い方で医療の現場ではあまり使われません。

ウィンターブルーの症状

①気分: 通常のうつ病と同じように「抑うつ状態」になります。やる気が起きない、倦怠感があるなどです。
②食欲: 通常のうつ病は多くの場合は食欲の減退、それに伴う体重減少が見られます。しかし、SADは食用が増進する方が多く、体重も増加する場合が多いです。
③睡眠: 通常のうつ病は多くの場合は不眠傾向になります。「寝付けない」「朝早く起きてしまう」「眠りが浅い」などが多いです。しかし、SADの場合は仮眠傾向になります。「寝ても寝ても眠い」と言う方が多いです。

ウィンターブルーの有病率

日本における有病率は診断ベースでおおよそ人口の2%前後と言われています。しかし、自覚がなかったり、あっても病院に行かない人も多数いますので、実施には2%よりももっと多いと考えられます。欧米では人口の10%程度としている研究もあります。
また、特に女性に多いと言われています。しかし、こちらも男性の方が病院に繋がりにくいという傾向があるなど実施には男性でSADの方も相当数いると考えられます。

ウィンターブルーの原因

精神疾患はまだ分かっていないことが多いのですが、SADの原因としての最有力候補は「日照時間の低下」であると考えられます。冬になると当然黒っている日が増えますし、寒いので外に出ることもへるでしょう。それによって多くの方は太陽の光を浴びる時間・量が減ります。
しかし、太陽の光を浴びることで脳内でセロトニンが分泌されます。セロトニンは気分の安定に一役買っていますので、日照時間の減少→セロトニンの減少→気分の不安定さとなります。

ウィンターブルーの治療法

①日照時間を増やす

まずは太陽の光に当たる時間を増やすことです。寒いですが頑張って外に出ることが大切です。そこまでしなくても、意識的に窓辺で日の光に当たるだけでもかなり効果があります。

②行動活性

また、通常のうつと同様に「行動活性」による回復も可能です。行動活性とは、簡単に言えば「できるところからやる」という事です。「気持ちが乗らないから何もしない」ではなく、「気持ちが乗らないけどやれることからやっていくことで、徐々に気持ちが上がってくる」という理論です。

最後に

SADは動物の冬眠に近いという研究者もいます。そのため、無理に治療する必要はないという考えもあります。
皆さんの生活の状況と合わせて、抑うつ気分が大きく日常生活に支障がある場合にはぜひ治療を考えていただきたいですが、それが必須という事ではありません。