最近、テレビを賑わせているチュートリアル徳井さんの所得隠しと申告漏れの話題。
それに付随して「徳井義実はADHDなのでは?」という話が上がってきています。
以前もADHDに関する記事をアップしていますが、今回は話題に便乗してADHDについて掘り下げていきたいと思います。
【注意】この記事は、徳井さんがADHDなのかどうかを判定するものではなく、徳井さんを例に挙げつつADHDについて説明する記事です。その点にご留意ください。
そもそもADHDとは、日本語では注意欠陥多動性障害、英語ではAttention Deficit Hperactive Disorderと言います。
注意欠陥・多動性障害とか、AD/HDのように”・”や”/”が入る場合もありますが、同じものです(厳密には後者の方が正しい表現)。
特徴としては、
【不注意】集中力が続かない、注意がそれやすい、逆に集中しすぎて抜け出せないなどの注意力に関する問題。
【多動性と衝動性】じっとしていられない、思い立ったらすぐ行動してしまうなど、行動に関する問題
が特徴です。
これらの両方を持つ場合もありますし、片方だけの場合もあります。
特に不注意の問題だけを持つ場合は、Hyperactiveを抜かして、ADDという表現をする場合もあります。
不注意で何年も税務申告を忘れ続けるのか?
不注意と言うと、「あ、うっかり○○してなかった!」のようなイメージがありますよね。
確かにそれも不注意の大きな問題の一つです。ADHDの方はうっかり「鍵のかけ忘れ」「誤字脱字」「入金忘れ」「約束をすっぽかす」ことが多々あります。
でも、徳井さんの場合は何度も税務署から督促が来たり、職員から注意を受けているそうですよね。
そうすると、多くの人は『それってADHDなの?』と思いますよね。
【注意】この記事は、徳井さんがADHDなのかどうかを判定するものではなく、徳井さんを例に挙げつつADHDについて説明する記事です。その点にご留意ください。
結論としては、もし徳井さんがADHDだで不注意があると仮定した場合、今回のような税務申告漏れは発生し得ます。
「注意力」の実際、ADHDの隠れた難しさ
ではなぜ、不注意→申告漏れが起きたのでしょうか。
まず、不注意についてもう少し詳しい説明が必要です。
不注意とはそもそも、人間が行動を起こす前のターゲットを決める行為です。ターゲットを決めた上でそれに対して何らかの行動を起こすのか、起こさないのかを判断します。
例えば、本屋さんでほしい本を探すときを想定します。
まず、人間は目の前にある沢山の中から、本Aに注意を向ける→欲しいと違うと判断→注意を本Bに切り替える→・・・・注意を本Gに切り替える→欲しい本だと特定→手を伸ばすというように注意の切り替えがハイスピードで行われています。
ではもし、注意を切り替えるという行為が上手くいかない=不注意な状態だったらどうでしょうか。
その場合は、本Aを見た時にそれにすごく集中してしまって本B、Cに行けない場合か、本Aの次に、本来注意を向けるべき本B、Cをすっ飛ばして本Dに注意を向けてしまう場合です。
どちらの場合も、共通して言えることは、「注意力のスイッチングの悪さです」。注意が向かないときはとことん向かない、注意が向くときはとことん向くという、ONでもOFFでも一度スイッチが切り替わったらそう簡単には戻らないという事です。それが日常的に、そして強烈に起きているのがADHDの不注意です。
この辺までご説明すると徐々に、不注意と長期にわたる申告漏れの関係性が見えてきますね。
不注意と先送り癖、そしてモチベーション
ADHDの方の多くが、”先送り癖”に困っている方が多いです。
これをしないといけないのは分かっているけど、どうしてもやる気が起きないな~明日でいっかな~、というやつです。
これは上記の不注意による部分が大きいと言われています(諸説あります)。
最初に、注意を向けるという事はターゲティングだと書きました。今回の申告漏れのことを例に挙げると、そもそも申告にターゲットに設定できていない=行動に移せるほどの注意を向けられていないという事です。
そして、注意力にはモチベーションが大きく影響します。別の表現で言えば”好き嫌い”が大きく影響すると言っても差し支えありません。
だれしも、嫌いなことには注意を向けにくいですが、好きなことには注意がすぐ向きます(注意の切り替え)。そして、好きなことなら何時間でもできてしまいます(注意の持続)。
逆もしかりです。
税務申告なんて誰だって面倒ですよね。好きな人なんていません。
でも多くの人は、めんどくさいながらもそれに注意を向けて、税務署に申告を出します。
ADHDの場合は違います。嫌いなことにはとことん注意が向きません。注意力のスイッチングが極端に悪いので、注意力が一度OFFになると、そう簡単にはONになりません。
つまり「あー申告めんどくさいなー」と思ったら、とことんやりません。
【注意】この記事は、徳井さんがADHDなのかどうかを判定するものではなく、徳井さんを例に挙げつつADHDについて説明する記事です。その点にご留意ください。
徳井さんに限ったことではない?
徳井さんをADHDと想定して、申告漏れの話をするのは極端な例ですが、ADHDの方の場合は日常生活にたくさんこういうことが起きます。
「この仕事嫌だなーあとでいいや」→期限までそれを繰り返して、完成できず上司に怒られる
「この課題いやだなーあとでいいや」→期限までに提出できず単位を落とす
「これ報告しといた方が良いのは分かってるんだけど、めんどくさいな、あとでいいか」→報連相の滞り
このように、ADHDの人にとっては先送りはごく当たり前のように発生します。本人も周囲も困ってしまっている場合が多いです。
解決先はないのか?
解説策①
薬を処方してもらう。薬価が高いのがネックですが、3種類ある薬からフィットするものを選ぶことができますし、当然効果は実証されています。
解決策②
環境調整をする。嫌なことをやらなざる負えないような環境を作ってしまいましょう。この時のポイントは絶対に抜け道を作らないことです。ADHDは抜け道があれば躊躇なく抜け道を通ります。
その他にもたくさんの工夫があります。こちらの本シリーズは非常に分かりやすく、かつ実用的な手法がたくさん掲載されています。ご興味のある方は書店で見てみてください。
【注意】この記事は、徳井さんがADHDなのかどうかを判定するものではなく、徳井さんを例に挙げつつADHDについて説明する記事です。その点にご留意ください。
最後に
ここまで実例を挙げながらご説明してきましたがいかがだったでしょうか。弊社では発達障害の方を含め、いろいろな困り感のある方々をサポートしています。
なにかお手伝いできることがあれば、個人・法人を問わず下記からご連絡ください。