充足感を感じながら、いきいきと生活するために、どのように理想的な自己イメージを描けるか、ここではその実践について一緒に考えていきたいと思います。
率直な自己開示
自分が持っている自己イメージは必ずしも、他者からのイメージと一致しているとは限りません。自己開示をすることが苦手で、ついつい表面的なことを言ってしまったり、隠し事が増えたりすると、周囲に等身大の自分が伝わりにくくなります。自身の持つイメージと他者から持たれるイメージが食い違ってしまうと、自分が期待しているものを周囲から受け取りにくくなったり、望んでいない方向に物事がすすんでしまうということにもなりかねません。
率直に等身大の自分を開示していくことは、健全な自己イメージを創造することにもつながります。他者とのコミュニケーションの中では、飾らず、率直に自分の考えていることを伝えていきましょう。
モデリング
モデリングとはカナダ人の心理学者バンデューラが提唱した社会学習理論で、他者の行動の内容と結果を観察・模倣することによって、適応的な行動パターンを習得し、不適応な行動パターンを消去する学習過程のことです。
誰しもが日常生活の中で、あの人のようになりたいなぁと憧れる人を、イメージできるかと思います。自分にとって好感がもてる人の発言や行動パターンを観察し、できるだけ同じような行動をとることから、モデリングが始まります。一定の期間、意識してモデルとなる人の表情やしぐさ、思考、行動を意識して実践していくと、やがて自分の中にも変化が表れてくることを感じることができるかもしれません。行動パターンを模倣する時には、なるべくモデルになる人のことを強く意識することが大切です。理想的な自己イメージを確立するためにモデリングを使ってみることも、一つの方法になるでしょう。
イメージを描く
心理療法にはイメージ療法というものが存在します。この手法はスポーツのメンタルトレーニングなどに良く活用されているものですが、自分自身の理想的なイメージを確立するためには、非常に効果的なやり方です。
もし皆さんの中で、上手くいかなくて困っていることや、自分のここを改善したい、とか、こんな自分になりたいという理想があれば、まずゆったりとリラックスしている状態を作り出します。その状態で自分の描く自己イメージや、改善したい願望などをイメージしてみて下さい。緊張が高い人や、心のブレーキがかかりやすい人は、なかなか思うようにいかないかもしれませんが、ゆっくりとした呼吸とともに自分の願望を描くようにしてみて下さい。イメージ療法は一種の自己暗示的なものになりますが、継続的に行っていくことで、効果を実感できることになるでしょう。