考え方の癖を見直す

ストレスの高い人に、「イライラする」という症状を訴える方が多くいらっしゃいます。状況によってイライラすることは誰にでもあることですが、恒常的にイライラする状態が続いている場合、背景に怒りの感情が隠れていることが多いようです。人間である以上、怒りの感情を持つことはごく自然のことですが、この怒りの感情は押さえつけていると身体に不快な症状をもたらします。また何よりも気持ちよく生活できなくなったり、周囲との摩擦を生み出すことにもつながります。怒りの感情は保持し続けずに、小出しに出すことが大切ですが感情をうまく外にだせない場合は、考え方を変えて、怒りを軽減することが効果的かもしれません。

考え方を変えてみることを、心理の用語では認知の変容と言っています。ではどのように考え方を変えていけばよいのか、考え方の癖をもとに考えていくことにしましょう。

すべき思考

イライラしてしまう状況の根底にみられる考え方として、相手に自分のやり方を守ってほしい、自分の秩序を常に守らなくてはいけないという「すべき思考」があります。すべき思考は、これまでの生育環境の中で価値観として身についてしまったり、また経験から学習し自分で習得するものなどさまざまですが、1度固まってしまった強い固定観念は、それ自体なくしていくことが困難です。また、すべき思考があると、周囲を容易に受け入れることができなくなるばかりか、自分自身を肯定的に受け入れることができず、自他ともに厳しい基準を求める傾向になり、人間関係にも葛藤を抱くことになりがちです。

ではどのようにすれば「すべき思考」をなくすことができるのでしょうか。

まずイライラした怒りの感情がでてきた時の、出来事を思い出してみましょう。怒りはどのような出来事を通して、生まれてきたのでしょう。怒りを感じた時に、記録をつけるようにしてみましょう。常に記録をとることで、自分の怒りを意識しやすくなります。

怒りがでてきた時、自然に頭に浮かんだ考え方はどのようなものだったでしょう。その考え方は、怒りを感じる時いつも浮かんでくる考えですか。ここでは、自分の考え方のパターンを理解するようにしましょう。考え方のパターンが理解できたら、変化につなげていくことが、より現実的なものになります。考え方のパターンがあなたの考え方の癖なので、出来事が起こった時に、あえて意図的に自分が考えないような視点で考えてみるようにします。奇異な発想や、ありえそうもないようなことなども考えてみるようにします。ここでは自分の考え方の癖を変えていくために、考え方の選択肢を広げていくことに重きを置いていきます。そしてさまざまな選択肢を出したあとで、現実的で建設的な考え方を選択できるようにしていきます。

このようなプロセスを長期にわたって記録をしながら行っていくと、固まっていた「すべき思考」が少しずつ、変化していくことに気付くかもしれません。このようなプロセスは認知行動療法で行われていますので、興味のある方はカウンセリングを受けたり、書籍を探して読んでみられるのもよいでしょう。[:]