仕事場では、メンタルの領域について産業医の他、産業保健スタッフとして様々な専門職の人が働いています。
今回はそれぞれの専門家の役割について説明したいと思います。
心理職の役割
仕事場では産業保健スタッフとして、臨床心理士や、産業カウンセラー、THPにおける心理相談担当者が存在します。
相談業務を専門として知識、経験を積まれた心理職の方たちですので、社員のストレスをしっかりと受け止めることが可能です。
また心理職が外部機関であれば、労働者が仕事場の産業保健スタッフよりも悩みを話しやすく、ハラスメントなどの防止につなげることも可能です。
大きな企業では、社内、社外の両方で相談窓口を設けているところもあります。
心理職の専門家は、相談業務に特化して業務を行っており、「心のケア」を重点的にフォローしている仕事場や、リワークプログラムなどではカウンセラーの意見が重要になります。
産業医や、職場の人事労務管理者、管理監督者と連携をとりながら、労働者が働きやすい仕事場を提供しています。
また産業医が内科医である場合は、心理職の専門家の役割は大きくなります。
主治医は薬物によって病態を改善しますが、心理職は心理療法によって病態の回復を目指しています。
心理療法の一つである「認知行動療法」はうつの人に効果があるといわれています。
人事労務管理者の役割
昨今のメンタルヘルス不調者の増加から、人事労務管理スタッフはこれまでよりも、幅広い対応を求められるようになっています。
メンタルヘルスの知識はもとより、様々な職場の事例に対して、しっかりとしたリスク管理を行っていくことも重要です。
人事労務管理スタッフは、労働者の勤怠を把握できる立場にあるため、長時間労働を行っている労働者や、勤怠の安定しない労働者をスクリーニングすることが可能です。
このような労働者が、メンタルヘルスの不調を感じている場合には、早めに産業医や産業保健スタッフにつなげていくことが大切です。
仕事場の環境調整としては、異動や、配置転換などの調整を行う必要があります。
さらには、メンタルヘルス不調者が、将来のキャリアに不安を感じている場合には、本人が安心して働けるキャリアパスを構築していけるように、支援することも任務となっています。
このように、仕事場の人事案件に絡む業務をすべて取りしきっており、メンタルヘルスの総合的な役割を担っています。
衛生管理者の役割
衛生管理者は労働安全衛生法において定められている資格で、事業場の規模において一定数を選出しなくてはなりません。
50人以上の仕事場では選任が義務付けられています。
資格を持った衛生管理者は、労働者の安全や健康を守るために、労働条件や衛生面の改善、仕事場のメンタルヘルス体制づくりを主とした業務に携わっています。
小さな規模の仕事場であれば、衛生管理者は個人の相談から職場全体の安全対策まで、幅広い業務を担当しています。
また規模の大きな会社では、個人への支援を中心に行う他の産業保健スタッフと異なり、仕事場全体の環境改善や、労災防止、衛生管理などの体制づくりに重点的に任務にあたっています。
様々な役割を持つ専門家を有効活用して、社員のメンタルヘルス不調を防止できるようにしていけるといいですね。